プロジェクトの進捗管理を行う中で、一度はクリティカルパスという言葉を聞いたことがあるのではないでしょうか。
プロジェクトの目標達成には、タスクやプロセスを可視化する必要があります。
特定のタスクが終わらないと作業を開始できないタスクもあるので、タスク間の関連性を把握しておかないと、致命的な遅れが発生することがあるからです。
このような時、役立つのがクリティカルパスです。
今回はクリティカルパスとは何か、なぜプロジェクト進行にクリティカルパスが重要なのかを解説していきますので、ぜひ最後までご覧ください。
目次
クリティカルパスとは
そもそもクリティカルパスは、化学会社デュポンが化学プラントの建設時間を抑える目的で開発したプロジェクト管理手法のことです。
プロジェクト規模が大きくなると、単純にタスクの数が増え、タスク間の依存関係も複雑化します。
そうなるとプロジェクトにおける重要タスク、つまり遅れが生じるとプロジェクト全体の遅延に繋がるようなタスクであっても、把握するのが難しくなります。
このような遅延が許されないクリティカルなタスクを把握することで、プロジェクトの成功率が上がります。
クリティカルパス法 (Critical Path Method, CPM) は、プロジェクト完了のために実行しなければならないクリティカルなタスクを特定する手法であり、「Crithical Path(和訳:重大な経路)」とは、プロジェクトの全工程を最短時間で完了させるために重要な作業経路のことを指します。
具体的には、プロジェクトの一連の工程を結んだ時、最も時間のかかる最長の経路がクリティカルパス(Crithical Path)となります。
前述のようにクリティカルパスが遅延するとプロジェクト進行の遅れになるので、他のタスクをどんなに短縮できても、クリティカルパスが遅れてしまうと意味がありません。
プロジェクトを管理するPM(プロジェクトマネージャー)は、クリティカルパスを早い段階で把握し、遅れないような対策を行います。
もし遅れたら早めに発見できるように気をつけておく必要があります。
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クリティカルパスを把握するメリット
では次に、クリティカルパスを把握するメリットを具体的に見ていきましょう。
タスクの優先度の決定
クリティカルパスを把握することは、プロジェクトにおける重要なタスクが何かを把握することになります。
そのためクリティカルパスのメリットとして、タスクの優先度を決定するのに役立つことが挙げられるでしょう。
効率的なスケジュール管理
クリティカルパスが明確になることで、プロジェクト全体にかかる作業日数や必要工数も明瞭になってきます。
クリティカルパス内のタスクの進捗状況を常に管理し、問題が生じた場合には即座に対応することで、スケジュールの遅延が起こりづらくなります。
また突然のスケジュール変更が発生しても、クリティカルパスを把握しておくことで、柔軟に対応することができるでしょう。
ボトルネックの回避
瓶の首に由来するボトルネックとは、ワークフロー内で停滞や生産性低下など、良くない影響を与えている箇所を示します。
プロジェクトの作業工程にボトルネックがあると、それ以外の工程が円滑に進められていたとしても、プロジェクト全体を通して多くの時間を要することになってしまいます。
クリティカルパスは、ネットワーク図を利用してタスクの依存関係を表すことで把握するため、並行して行えるタスクと、独立して行うタスクとを分けてスケジュール設計をすることができます。
今後のプロジェクトの計画に有用
プロジェクトの計画時に、あらかじめ想定されたタスクのスケジュールと、実際のタスクの進捗状況とは異なるものです。
それはクリティカルパスでも同じことが言えるでしょう。
想定のクリティカルパスと実際のクリティカルパスを比較することで、今後のプロジェクトの計画に反映でき、よりプロジェクトの精度を高めることになります。
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クリティカルパスの求め方
実際にクリティカルパスを見つける方法について解説していきます。
タスクのリストアップ
まずプロジェクトに必要となる全ての作業・タスクを全てリストアップしましょう。
この時、作業分解構造図と呼ばれるWBS(work breakdown structure)を利用してプロジェクトを階層的に整理していきます。
タスクをツリー状に分解することで、タスクの抜け漏れを防ぐのみならず、タスクの親子関係が明白になります。
ここで作られるWBSは、ガントチャートやクリティカルパスのベースとなるものです。
タスク間の依存関係を把握
WBS(work breakdown structure)を元に、タスク間の依存関係を把握しましょう。
ここでは独立しているタスクか、並行して行えるタスクかをチェックできます。
例を挙げると製造業において部品の組立作業を行うには、あらかじめ部品の仕入れを完了させないと進めることができません。
一方で組立に必要な製造設備の整備は独立して行うことができる業務であり、部品の仕入れ業務と並行して行えます。
このように依存関係を表したタスクリストを、「作業シーケンス (順序)」 と呼び、クリティカルパスの決定に活用します。
PERT(Program Evaluation and Review Technique)図の作成
タスクの情報が精査され、いよいよクリティカルパスを把握していくためには、WBSからネットワーク図を作成する必要があります。その際、各タスク間の依存関係を図示でき、クリティカルな工程を見極めるのに便利なPERT図を用いると良いでしょう。
PERT図とは「Program Evaluation and Review Technique」の略で、作業タスクを丸で表しタスクを矢印で結び、工数を記載して表したもので、別名「アローダイアグラム」と呼ばれています。
クリティカルパスにおける、PERT図はタスクを時系列にまとめたフローチャート (工程表) です。
時系列にタスクを並べ、タスク間の依存関係を矢印で図示で加えていくことで、最終的にプロジェクトのスケジュール設計に役立ちます。
タスクの所要期間を推定する
ネットワーク図(PERT図)でプロジェクトの全行程が特定されたら、各タスクの所要時間を見積もっていきます。
クリティカルパスはフローチャート内の最長の経路であるため、各タスクの所要時間の見積もりは、クリティカルパスを把握する上で重要な作業になります。
上の図では、丸はタスクを表し、数がタスクの順序を示しています。
矢印のそばに黄色で日数が記載されていますが、その日数がタスクを終わらせて次のタスクに移れる工数になります。
クリティカルパスを特定する
クリティカルパスを特定していきましょう。
まず上図においてタスクの上の四角枠内に記載されている日数は、最も早くそのタスクにとりかかれるタイミングです。
①→②と①→③、①→④は同時に作業を進めることができます。
タスク間の依存関係の把握は、ここに反映されます。
では最も早くタスクに取りかかれるタイミングを見ていきます。
図の左から右へと工数を足していけば、そのタイミングが見えてきます。
順番に見ていきましょう。
①から②へ移るには4日かかります。
②から③には5日かかり、③から⑥には1日かかります。
また、①から③へ移るには3日かかります。
①→②→③→⑥は合計10日、①→③→⑥は合計4日かかります。
ここで注視したいのが①→④→⑤→⑥の経路です。
①→④が2日、④→⑤が3日、そして⑤→⑥が10日かかり、合計で15日かかります。
⑥のタスクを始めるにはその前の工程が完了している必要があるので、①→④→⑤→⑥の経路が終わらないと他の工程がどんなに早く終わっていても先へ進めることができません。
このようにして上図のタスク上の枠内の日数が、最短でタスクにとりかかれる日数になります。
次に、最も遅くタスクに取りかかれるタイミングを見ていきましょう。
先ほどとは逆に右から左へ数字を引いていきます。
その数字を先ほどの四角枠に赤字で記載します。
最も遅くにタスクに取りかかれるタイミングを割り出したら、その日数と先ほどの最短でタスクに取りかかれるタイミング(枠内の黒字日数)を見比べてみてください。
それぞれの日数に差があるものとないものがあります。
差がないタスクは、予定通りに終わらないと全体が遅れてしまう重要な経路ということになります。
差がない経路がクリティカルパスになります。
今回の例では、上図の通り「①→④→⑤→⑥→⑦→⑧」がクリティカルパスです。
このタスクの最早開始日と最遅開始日の差を、フロート日数と言います。
フロート日数以内であれば、遅延が生じてもプロジェクト進行に問題ありません。
クリティカルパスとスケジュールの調整
プロジェクトにおいて、クリティカルパスは最長の経路です。
もしもクリティカルパスが短縮できれば、プロジェクト全体のスケジュールの短縮になります。
クリティカルパスの短縮には「クラッシング」と「ファストトラッキング」という手法があります。
「クラッシング」はリソースの追加のことで、例としてはタスクの処理能力を一時的に向上させるため増員することや、ツールの導入などが当てはまります。
一方「ファストトラッキング」はタスクの並列実行のことで、現行タスクと後発タスクを同時並行で進めることを指します。
例を挙げると、Aタスクが終わってからBタスクを進める場合に、AタスクでつまづくとBタスクがいつまで経ってもスタートできないため、複数タスクを同時進行しておくことで、後工程への遅延を防ぎます。
ただしファストトラッキングは本来の順序と異なるため、手戻りが発生するリスクもあります。
Aタスクで重大なトラブルなどがあればBタスクが無駄になるなど、管理が難しくなることが欠点です。
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クリティカルパスと併用するプロジェクト管理手法
実際のプロジェクト進行において、クリティカルパスと併用しながら、プロジェクトを管理する手法があります。
クリティカルパスとの違いや、併用する理由を解説していきます。
クリティカルパスとクリティカルチェーンの違い
クリティカルパスと似た概念に、クリティカルチェーン(Critical Chain Project Management、CCPM)があります。
プロジェクトにおける各タスクのスケジュールや予算などを限界まで抑え、その分をプロジェクト全体のバッファとして余裕を設定しておくという管理手法です。
前述のように、ネットワーク図(PERT図)上で、最長の作業経路がクリティカルパスです。
クリティカルパスは「作業工程上の依存関係」のみに考慮した計画であるのに対し、クリティカルチェーンは「作業工程上の依存関係」に加え「リソースの依存関係」を考慮した計画という違いがあります。(リソース・・・resource₌ヒト・モノ・カネなど)
つまりクリティカルパスはリソースをいくらでもつぎ込める前提で、最短何日かを求めるものになりますが、実際にはタスクAが完了しないと、タスクBの要員が確保できないなどリソースには限度があります。
当然リソースは人だけに限らず、作業する機械や場所などもリソースに含まれます。
その他、クリティカルチェーン法ではリソースの不確実性をマネジメントします。
要員の体調不良や、機械の故障などがこれに当たるでしょう。
プロジェクト計画において、クリティカルチェーンとクリティカルパスは、組み合わせて用いることがあります。
初めにリソースを考えないクリティカルパスを求め、準備できるリソースに照らし合わせてクリティカルチェーンを考える手法です。
このようにリソースに合わせてクリティカルパスを修正し、プロジェクト全体にバッファ(余裕)を持たせる手法がクリティカルチェーンなのです。
なおPMBOK第3版からは、プロジェクトスケジューリングではリソース競合に配慮することが前提となったため、その前提に従うとクリティカルチェーンとクリティカルパスは同義と言えるようになりました。
クリティカルパスとガントチャートの違い
ガントチャート(Gantt chart)は、横の棒グラフによってプロジェクトの進捗状況を示す表のことです。
プロジェクト管理や工程管理のために用いることが多く、設定されたタイムラインによってタスクを追跡します。
クリティカルパス、ガントチャート共に、「作業工程上の依存関係」を示している点は同じです。
それぞれのツールの特徴を見てみましょう。
クリティカルパス
- 重要タスクの可視化と、プロジェクトの所要期間を算出
- ネットワーク図でタスク間の依存関係を表示
- リソース情報は含まない
- 作業計画をネットワーク図にできるが現行のタイムスケールは含まない
ガントチャート
- プロジェクト内の全タスクの進捗を可視化
- 棒グラフでタスクを表示する
- 各タスクのリソース情報を表示
- 作業計画にタイムスケールが含まれる
クリティカルパスとガントチャートを併用することで、クリティカルパスを追跡しながら計画通りにプロジェクトを進行できます。
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クリティカルパスの把握にはタスクの洗い出しから
このようにクリティカルパスが遅れるとプロジェクト全体が遅れるため、PM(プロジェクトマネージャー)は早めにクリティカルパスを把握し、進捗を注視しておく必要があります。
しかしプロジェクトの規模が大きく複雑になれば、プロジェクトの中からクリティカルパスを見出すことは容易ではありません。
時間がかかるような大きい工程だけがクリティカルパスというわけではなく、簡単で小さい工程もクリティカルパスになる可能性があるのです。
つまりプロジェクト内の全てのタスクを漏れなく洗い出す作業が、クリティカルパスの把握には必要不可欠になります。
つまりWBSの作成です。
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またタスクの期日を設定することで、ガントチャートがワンクリックで自動生成されます。
直感的な操作でスケジュールを変更でき、また変更した期日はタスク一覧にも自動で反映されます。
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