プロジェクト組織とは？組織の役割やメリットを徹底解説！

プロジェクト組織は、特定の目標を実現し、課題を解決するために一時的に編成される組織形態です。
新しいプロジェクトを迅速かつ効果的に進めるために、この柔軟な組織構造が活用されています。

当記事では、プロジェクト組織の基本的な概念から、メリットとデメリットまでを詳しく解説します。
プロジェクト組織の運営にあたって押さえるポイントも紹介していますので、ぜひ参考にしてみてください。

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プロジェクト組織とは

編成されたプロジェクト組織の様子。プロジェクトチームの意思決定権を持っているプロジェクトマネージャがリーダーシップを発揮している

プロジェクト組織（プロジェクトチーム）は、特定の仕事を遂行したり、課題を解決するために、異なるスキルや知識を持った人材を集めて形成した臨時的な組織体制です。
所属組織全体の目標達成よりも、プロジェクトの成功に特化したチーム編成をおこないます。

これは、システム開発やプロダクト開発などでよく見られる形態です。

基本的にプロジェクトが完了すると、プロジェクト組織は解散します。
解散後メンバーはそれぞれの部門に戻ったり、異なるプロジェクト組織に参画したりします。

また、プロジェクトではその進行途中でチーム編成が変わることもよくありますが、プロジェクト組織は変化する環境に素早く対応し、柔軟性が高いのが特徴といえるでしょう。

プロジェクト組織の役割

プロジェクト組織は、固定の組織では対応できない事象や都度変化する課題に対応するため、立ち上げられます。
そのため、固定の組織に比べて迅速な意思決定が求められます。

プロジェクトの成功には、各メンバーが自分の役割と責任をしっかりと理解し、それに基づいて効率的に働くことが不可欠です。
プロジェクト組織の役割を明確にすることで、チーム全体の協力とコミュニケーションが円滑になり、プロジェクトの成功につながります。

プロジェクト組織には、プロジェクトを統括し、強い権限を持つプロジェクトマネージャー（PM）やプロジェクトリーダー（PL）がいます。
その他、プロジェクトマネジメント業務のサポートや、プロジェクトマネジメントオフィス（PMO）を設置している場合もあります。

プロジェクトマネージャーやプロジェクトリーダーは、招集したチームメンバーと連携して最適な解決策を提案して成果を出すことが目的です。

プロジェクト組織以外の組織形態

プロジェクト組織の他にも以下の組織が存在します。

機能型組織
事業部制組織
マトリクス組織（上記二つを混ぜたもの）

それぞれ詳細を解説します。

機能型組織

機能型組織は、職能ごとに部門が分かれている組織形態です。
例えば、製造や販売、人事などが挙げられます。

各部門は特定の業務領域に特化しており、専門知識の深化と効率的な業務遂行が可能です。
機能型組織では、上司から部下へ明確な指揮命令系統が確立されているため、業務指示や報告がシンプルで明瞭です。

一方で、プロジェクトマネージャーよりも部門長のほうが強い権限を持っているため、プロジェクトに対する柔軟性は低いでしょう。
各部門間の調整が必要な場合には、時間がかかることもあります。

そのため、機能型組織は長期的かつ定常的な業務には適していますが、急速に変化するプロジェクトをこなすことは難しいでしょう。

事業部制組織

事業部制組織とは、各事業部が独立採算をおこなう組織体制を指します。
この体制では、各事業部が自律的に機能するため、業務の進行速度が速いのが特徴です。
事業部制組織は、大企業から中小企業に至るまで幅広い企業で採用されています。

各事業部が独立した機能を持ち、それぞれがマーケティングや営業、経理などの部門を備えています。
そのため、迅速な意思決定が可能となり、本社の承認を必要としないケースも多いです。

事業部制組織のメリットとして以下が挙げられます。

業務のスピードが飛躍的に向上する
本社がより重要な業務に専念できる
各事業部が利益の向上に集中できる

各事業部が自律的に動くことで、収益の向上にもつながります。

反対に、事業部間での格差が生じやすいことや、各事業部が独自の判断で動くため、全体の統制が難しくなることがデメリットといえるでしょう。
特に利益の差が大きくなると、企業内でのバランスが崩れる可能性があります。

また、全体の調整が必要となる場面では、経営スピードが低下するリスクも考慮しなければなりません。

マトリクス組織

マトリクス組織とは、「機能型組織とプロジェクト型組織」「機能型組織と事業部型組織」など2種類の組織構造を掛け合わせたハイブリッド型の組織構造を指します。

ここでは「機能型組織とプロジェクト型組織」を例に挙げてご説明します。

機能型組織とプロジェクト組織を組み合わせた組織構造では、プロジェクト組織のような一時的なチームではなく、継続的なチームであることが特徴として挙げられます。
マトリクス組織のメンバーは、通常の職能部門と特定のプロジェクトチームの両方に属し、どちらの業務タスクにも動ける体制を取っています。

また、マトリクス組織では各プロジェクトが必要とする専門知識のある従業員を、部門を横断して招集することができます。
プロジェクトの要求に迅速に対応しつつ、高い専門性を維持できるのも大きな利点です。

ただし、一人が二つ以上のチームに所属するため、指揮命令を明確にするなどの対策が必須です。
そのため、プロジェクトマネージャーは強い権限を持つことが重要になるでしょう。

プロジェクト組織のメリット

ここからは、プロジェクト組織のメリットを三つ紹介します。

迅速な意思決定ができる
部門を横断して連携できる
コミュニケーションが取りやすい

それぞれ解説します。

迅速な意思決定ができる

プロジェクト組織では、プロジェクトの責任者であるプロジェクトマネージャーが必要な権限と責任を持つため、意思決定が迅速になります。
従来型の組織構造では、意思決定のために複数の部署との調整が必要となる場合があり、運用に時間がかかってしまうことが課題でした。

このように、プロジェクト組織ではプロジェクトの責任者に権限が集中しているため、意思決定の速度が速いことがメリットです。

全体の管理がしやすくなるほかにもプロジェクトの進行がスムーズになり、効率的な目標達成ができるでしょう。

部門を横断して連携できる

プロジェクト組織は異なる部門から従業員を招集して、共通の目標に向かって業務をおこないます。
これにより部門間の壁を越えたコミュニケーションが生まれ、連携が強化されます。

従来型の組織構造では各部署が縦割りで業務をおこなうため、部署間の連携が不足してしまうことがありました。
その結果、情報共有がスムーズに進まなかったり、業務プロセスに無駄が生じたりする可能性が問題視されていたのです。

一方、プロジェクト組織では異なる専門性を持つ従業員が一つのチームとして協力するため、互いの知識や経験を共有しやすくなります。

また、プロジェクトの進捗状況や問題点を共有することで、迅速な対応が可能となり、プロジェクト全体の効率化や組織力アップにも繋がります。

コミュニケーションが取りやすい

プロジェクト組織は従来型の組織構造と比較して、コミュニケーションが円滑になりやすいメリットがあります。
なぜなら、プロジェクトチームは一つの目標に向かって協力し合うためです。

組織のエンゲージメントが高まり一体感が生まれた環境に身を置くことで、プロジェクトチーム全体のパフォーマンス向上にも期待できます。

プロジェクト組織のデメリット

反対に、デメリットは以下の三つです。

プロジェクト解散後の人事評価が一貫性を欠く
知識が蓄積しづらい
リソース不足に陥る

それぞれ解説していきます。

プロジェクト解散後の人事評価が一貫性を欠く

プロジェクトが終了して解散した後、プロジェクトごとに異なる評価基準が適用されるため、公平な評価が難しくなることがあります。

特に特定のプロジェクトに特化した専門性の高いスキルを身につけている場合、次のプロジェクトでそのスキルを活かせる保証がなく、キャリアの停滞やモチベーションにも影響します。

せっかく労力を使ってプロジェクトに参画したのに低い処遇を受けてしまうと、メンバーのモチベーション低下や不満に繋がりかねません。

公平な人事評価のためにも、評価体制を整えることが大切です。

知識が蓄積しづらい

プロジェクトチームは特定のプロジェクトに特化したチームが編成されるため、プロジェクトに関する知識やノウハウが、所属組織全体に蓄積しづらいデメリットがあります。

従来型の組織構造は、各部署内で長年培われた専門知識や経験が蓄積されていくのに対し、プロジェクト組織はプロジェクト終了とともにチームが解散するため、せっかく培ったノウハウが散逸してしまうケースも多いです。

リソース不足に陥いる

複数のプロジェクトが同時進行する場合、限られたリソース（人材、資金、時間）を各プロジェクトに適切に配分する必要があります。
人選にも労力がかかり、優秀な人材を求めるあまりに、在籍部署がリソース不足に陥りやすくなるケースも十分考えられます。

特に、専門性の高い人材や設備などのリソースは奪い合いになる可能性もあり、プロジェクトの遅延や品質低下に繋がるリスクも考えられます。

プロジェクト組織の構築方法

様々なダイバーシティや組織文化を持った人材で編成された柔軟なプロジェクトチーム。プロジェクトマネージャやリーダーの権限下でそれぞれが能力を発揮している様子

プロジェクト組織のメリットとデメリットがわかったところで、次に重要なのは、どのようにして効果的なチームを構築するかです。
以下の手順を基に、プロジェクト組織の構築方法を解説します。

明確な目標設定
適切なリソース配置
メンバーの役割を明確化

プロジェクト組織をこれから立ち上げたい管理職の方は、ぜひ参考にしてみてください。

1. 明確な目標・意義の設定

プロジェクトの成功には、明確な目標や意義の設定が欠かせません。
目標や意義を具体的かつ達成可能なものにすることで、プロジェクトチーム全体が同じ方向を向いて取り組むことができます。

目標設定の際には、以下を参考にしてみましょう。

プロジェクトの目的
予算
納期

また、目標を関係者間で共有することが大切です。
プロジェクトチーム全員に共通の理解を持たせることで一体感が生まれ、メンバー個々のモチベーションも高まります。

2. 適切なリソース配置

プロジェクトの成功には、適切なリソースの配置が必要です。
調達するべき人材・資金・時間などのリソースは、適切に配分することで、プロジェクトの効率的な進行が期待できます。

その際、各メンバーのスキルや経験を評価し、プロジェクトに最も適した人材を選定します。

ただし、複数のプロジェクトが同時に進行する場合はリソース不足も考えられます。

プロジェクトマネージャーはプロジェクトの進行状況を定期的に把握し、必要に応じてリソースの再配置をおこないましょう。

リソース管理

3. メンバーの役割を明確化

適切なリソース配置が完了したら、プロジェクトマネージャーは各メンバーの役割と責任を具体的に定義し、メンバー全員に共有します。

プロジェクトチームメンバー各自の役割を把握することで、メンバー全員の一体感も生まれ、トラブル発生時にも対応できます。

役割を明確にすることは効果的なチーム運営の鍵となり、責任の所在がはっきりすることで自分の役割に注力できるのです。

プロジェクト組織の体制で押さえるポイント

強いリーダーシップを持ったプロジェクトマネージャの元、プロジェクト組織が運営されている様子

プロジェクト組織の運営において、以下の三つのポイントを押さえる必要があります。

プロジェクトに適したプロジェクトマネージャーを選定する
プロジェクトメンバーの役割を明確にする
管理ツールを活用する

それぞれ詳しく解説します。

プロジェクトに適したプロジェクトマネージャーを選定する

適切なリーダーの選定はプロジェクトを成功に導く重要な要素です。
プロジェクトマネージャー（PM）には優れたリーダーシップやコミュニケーション能力、問題解決能力が求められます。

プロジェクトの方向性を決定してチームを導く役割を担える人、プロジェクトの内容に精通している人が望ましいでしょう。
また、過去のプロジェクトでの成功経験や、関連分野の知識が豊富な人材も最適です。

プロジェクトマネージャーは明確なビジョンを示し、リーダーシップを発揮することで、チームを成功へと導いていかねばなりません。
また、メンバー間のコミュニケーションや協力体制を促進し、信頼関係を築くこともリーダーには重要です。

プロジェクトは計画通りに進行しないことも多いため、プロジェクトマネージャーには柔軟性と適応力が求められます。
変化に柔軟に対応し、改善点を挙げ効果的な計画を立てることができる人材を選びましょう。

プロジェクトメンバーの役割を明確にする

各メンバーの役割と責任範囲を明確にすることでチーム全体の効率が向上し、プロジェクトの成功率が高まります。
プロジェクトマネージャーは、メンバーの強みや専門知識を考慮して役割を割り当てましょう。

役割が明確になることで、責任範囲も明らかになります。
その結果、タスクの重複や抜け漏れを防ぐことができ、効率的な進行が可能になるでしょう。
責任範囲を明確にしつつ、必要に応じて助け合える柔軟なチーム作りが重要です。

管理ツールを活用する

プロジェクト組織を円滑に管理するためには、適切な管理ツールを導入し、プロジェクトメンバーのタスクや進捗の可視化が不可欠です。

誰がいつまでにどんな業務を担当しているのか、誰のどのタスクが遅延しているかを一目で把握することができ、プロジェクト全体を俯瞰して管理することが可能になります。

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