ICT技術の発達や労働人口の減少、グローバル化の加速など、昨今のビジネス環境は大きく変化しています。
限られたリソースを有効に活用し、業務効率や品質を向上させ、組織の生産性を高めていくためには、どのメンバーが担当しても同じアウトプットが得られるように、業務手順を統一する必要があります。つまり、業務の標準化が必要です。
標準化は、生産性向上や業務品質の維持向上など、組織に多くのメリットをもたらします。
当記事では、標準化のメリットや具体的な手順、推進の際の注意点などを解説します。標準化の推進を効率化できる管理ツールの紹介もするので、ぜひ参考にしてみてください。
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目次
標準化とは
そもそも「標準」とは、一般的には「規格」と同義で用いられますが、「普及」や「取り決め」の意味も含むため、規格よりも広い概念の言葉です。
そして本記事のテーマである「標準化」とは、日本規格協会(JSA)によると「自由に放置すれば、多様化、複雑化、無秩序化してしまうような『もの』や『事柄』を少数化、単純化、秩序化すること」と定義されています。
統計学の分野における標準化とは、データの変換方法のことを意味し、「データの平均を0、分散を1にすることによってスケールの違うデータ同士を簡単に比較できるようにすること」です。
文脈によって多少の意味の違いはありますが、ビジネスにおける標準化とは、「製品や資材の規格を定めて統一化・単純化し、製造方法や評価方法などの認識を共通化すること」ととらえて問題ないでしょう。
これに加えて、業務に対して標準化という言葉が用いられる場合は「すべての社員が同じ成果が出せるように、業務のルールやプロセスを最適に保つこと」を意味します。
業務の標準化には「業務フローの標準化」と「タスクの標準化」の2種類があります。
業務フローの標準化とは、業務のプロセスを一定に定めることで、誰が担当しても同じ成果をあげられるようにすることです。
プロセスが決まっていれば、新入社員や異動してきた社員への教育も効率的に行えるでしょう。
これに対してタスクの標準化とは、業務フローを構成する個々のタスクの内容ややり方を均一化することです。
業務フローの標準化とタスクの標準化の両方を実現することにより、誰が作業を担当しても効率的に同じ成果を生み出せるようになります。
マニュアル化との違い
標準化はマニュアル化と同義で使用される場合がありますが、厳密には意味が異なります。
標準化は書類のフォーマットを統一したり、作業のルールを細かく定めたりすることによって成果物の質を一定に保つことを目的としています。
これに対してマニュアル化のゴールは、誰もが同じ効率で作業を進められることです。
よって、マニュアル化は標準化の一部ととらえることができ、マニュアル化は標準化を実現するための方法の1つでもあります。
標準化を実現するためには、誰が業務を担当しても同じ手順で実行できるようにする必要があります。
そのためには決められた手順を共有する必要があり、その際に役立つのがマニュアルです。
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業務標準化のメリット
業務標準化が実現できれば組織全体の業務効率化が達成でき、貴重なリソースを有効活用できるようになります。
業務標準化の具体的なメリットを4つご紹介します。
- 業務の属人化を防止できる
- 業務のブラックボックス化を防止できる
- ムリ・ムダ・ムラが解消され、生産性向上へつながる
- 業務品質の維持向上
それぞれについて詳しく解説します。
業務の属人化を防止できる
業務の属人化とは、業務が特定の個人のスキルや経験に依存している状態のことです。
「人事管理システムの操作方法を担当者1名しか把握していない」「重要な顧客との取引情報を営業担当者1人が管理している」といった状態のことです。
業務が属人化してしまうと、担当者が不在の場合に業務の遅延が発生しやすくなります。
また、長期間同じ人物しか業務に携わらないことにより、新しいアイデアやアプローチが導入されにくいといった問題が生じます。
組織的な観点では、業務に関するノウハウやナレッジが継承されないという問題点も見過ごせません。
業務が標準化されれば、定められた手順に沿って誰でも業務を代替できるようになるため、属人化の防止が可能です。
業務の手順やノウハウ、進捗をメンバー同士で共有し、教え合う体制を築いていけます。
業務のブラックボックス化を防止できる
属人化と似た概念の言葉にブラックボックス化があります。
ブラックボックス化とは、まるで黒い箱(ブラックボックス)の中で業務が遂行されているかのように、業務プロセスが外部から見えにくい状態のことです。
業務のブラックボックス化は、業務の複雑性や情報共有の不適切性など、さまざまな要因によって引き起こされます。
結果として、特定の従業員しか意思決定のプロセスを把握していない状態が発生してしまい、組織としての効率的な業務遂行や正しい意思決定の妨げになります。
標準化によって業務の流れやルールが可視化されれば、ブラックボックス化していた業務プロセスが明らかになり、透明性が担保され、より効率的な意思決定が可能になるでしょう。
ムリ・ムダ・ムラが解消され、生産性向上へつながる
「業務が標準化されていない=業務内容や工程にムリ・ムダ・ムラがある状態」と言えます。
業務のムリ・ムダ・ムラは業務効率を低下させ、生産性向上の足枷となるため、注意が必要です。
具体的には、業務フローが可視化されず属人的な業務の進め方をしているとムダな作業が多く発生し、特定の時期や従業員に仕事が集中し、ムリが生じます。
その結果、業務が停滞したり、業務効率にムラが発生したりするのです。
ムリ・ムダ・ムラを取り除くためには、業務の標準化が効果的です。
誰が行っても同じ成果が出せるようにプロセスやルールを最適化する過程でムリ・ムダ・ムラが解消され、組織の生産性が向上していきます。
業務品質の維持向上
業務標準化を推進するにあたっては、業務の手順を明確にするステップが必要です。
最適な手順とは、作業効率がよく、成果物の品質水準が安定し、安全性や規格などの面でも問題がない手順のことです。
この最適な手順を組織で共有し、誰が行っても同じ成果が出せる体制を構築するまでが標準化です。
標準化が進めば作業の抜け漏れや担当者ごとの作業のバラつきがなくなるため、安定した成果が出せるようになります。
業務品質の安定性は顧客満足度向上へつながり、会社の業績アップが期待できるでしょう。
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標準化の進め方
業務標準化とは、一言で表現すると「標準的な手順を定めて、職場内で共有すること」です。
まずは標準的な手順を定めるために、現状の業務内容やフローを見える化することから始めます。
現状把握が不十分な状態で標準化を進めてしまうと、ムリ・ムダ・ムラが解消されず、不完全な状態に陥ってしまうため、注意しましょう。
業務標準化の具体的な進め方は、次の5つのステップです。
- 現状把握と分析
- 標準化すべき業務を洗い出す
- 業務フローを見える化して整理する
- 業務フローの再設計とマニュアル化
- 定期的に見直す
それぞれについて詳しく解説します。
1. 現状把握と分析
まずは現状を正確に把握します。
業務の工数や難易度、発生の頻度などを数値で表すことで、全体像を明確にしていきます。
実際に業務を遂行する担当者へヒアリングしながら現状把握に努めることで、精度を高められるでしょう。
マニュアルや手順書などがあれば目を通し、業務フローに問題がないかチェックします。
属人化している業務や作業効率の低い業務をピックアップし、問題点を分析します。
2. 標準化すべき業務を洗い出す
現状把握によって明確化された問題点を踏まえ、優先的に標準化に取り組む業務を洗い出します。
すべての業務を一度に標準化することは困難です。
優先順位をつけて、順番に取り組みましょう。
優先順位を決める際は、成果物の品質を左右する重要な工程や、大きな改善効果が見込まれる工程に着目すると良いでしょう。
3. 業務フローを見える化して整理する
標準化する業務について、フローチャートなどを用いて業務の流れを見える化します。
見える化することで業務の全体像が把握でき、ムリ・ムダ・ムラのある工程が見つかりやすくなります。
必要に応じて業務の順序を入れ替えるなどしてフローチャートを最適な形に整理していきましょう。
不要な項目をピックアップしたり、必要以上に時間がかかっている工程があれば、時間短縮できないかどうか考えたりすることが大切です。
4. 業務フローの再設計とマニュアル化
前ステップで整理された業務手順をもとに、業務フローを再設計し最適化します。
不要な手続きやムリのある業務フローを見直すことで最適なプロセスが構築され、ミスなく効率的に業務遂行できるようになります。
業務フローが再設計できたら、内容をマニュアルに落とし込みます。
マニュアル化する際は、どこまでマニュアル化するのか、範囲を定めることが大切です。
たとえば、顧客との直接的なやりとりが発生するカスタマーセンターや窓口業務では、すべてを詳細にマニュアル化することは難しく、マニュアルを使うことによってトラブルにつながることも想定できます。
マニュアルに記載されていないイレギュラーが発生した際の対応方法を事前に決めておくと良いでしょう。
5. 定期的に見直す
標準化は一度取り組んだら終わりではなく、定期的に見直すことで改善を図ることが大切です。
サイクルを決めて見直すことで、環境の変化に柔軟に対応できるようになるでしょう。
具体的には、現状の業務フローに対するレビューを実施し、新たに発生した課題を洗い出していきます。
現場の意見を速やかに業務フローに反映させながら運用していくことが大切です。
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標準化を推進するポイントと注意点
標準化を推進する際は、組織の管理職やリーダーにあたる人が主導することが大切です。
現場レベルでは、業務の属人化やブラックボックス化が進んでいても支障をきたしていない場合があり、従業員によっては、現状の業務フローを変えることに抵抗を感じる人もいるでしょう。
マネジメント層が標準化の目的や期待できる効果を明確に伝えて現場とコミュニケーションを取りながら推進していくことが大切です。
標準化を推進する際のポイントと注意点は、次の4つです。
- 業務内容によっては標準化に適さない場合がある
- 従業員のモチベーション低下を招く恐れがある
- 長期的に取り組む
- 管理ツールを導入する
それぞれについて詳しく解説します。
業務内容によっては標準化に適さない場合がある
高い専門性が求められる業務や個人のスキルに依存する業務は、標準化に適さない場合があるため、注意が必要です。
具体的には、医療や法律の分野の業務は高い専門性が求められるため、標準化によるメリットが得られないでしょう。
他にも、規模が小さな業務も標準化には適しません。
たとえば、小規模かつ単発のプロジェクトの標準化を推進しても形骸化する可能性が高く、標準化に要する労力がムダになってしまいます。
すべての業務を標準化するのではなく、標準化の効果が大きい業務に絞って取り組むことが大切です。
従業員のモチベーション低下を招く恐れがある
標準化の結果、業務のマニュアル化が進むことで、従業員は用意された業務マニュアルに沿って行動するようになります。
その結果、自分の創造性が活かされる場面が少なくなり、モチベーションが低下する恐れがあります。
標準化を推進する際は現場の声に耳を傾け、どこまでマニュアル化すべきか見極めながら行うことが大切です。
長期的に取り組む
業務を標準化するには適切なステップを踏む必要があり、成果があらわれるまでに時間がかかります。
短期的な成果を求めすぎず、長期的に取り組むことが大切です。
取り組みが長期間にわたると、現場の従業員のモチベーションを保つことが難しい場合があるでしょう。
リーダーや管理職が中心となり、標準化への意欲を保つための働きかけをすることが求められます。
管理ツールを導入する
標準化を効率的に推進するためには、業務の現状を正確に把握し、見える化するステップが不可欠です。
見える化が不十分で曖昧な部分を残したまま標準化してしまうと、標準化の効果が限定的なものとなってしまうため、注意が必要です。
カンバン方式で業務を管理できる管理ツールを導入すれば、業務の全体像が簡単に見える化でき、標準化への取り組みが容易になります。
また、標準化は一度取り組んだら終わりではなく、形骸化させないための継続的な取り組みが大切です。
ExcelやWordを活用してマニュアルやデータを管理することは可能ですが、情報の更新や共有に手間がかかります。
管理ツールを導入すれば必要な時に必要なマニュアルやデータにすぐにアクセスでき、作業手順に変更が生じた際はその場で情報を更新できます。
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