オペレーショナルエクセレンスは、業務効率化や競合優位性の観点から、近年世界中の企業に注目されている概念です。
本記事では、オペレーショナルエクセレンスを重視し、問題解決を成し遂げている企業の事例を9つ挙げて解説します。
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目次
オペレーショナルエクセレンス(OPE/OPEX)とは
オペレーショナルエクセレンス(operational excellence、OPE、OPEX)とは、オペレーションの効率や生産性の向上を、競合他社の追随が難しい段階まで追求して競争優位性を確保すること、あるいはその状態を指します。
オペレーションとは、企業活動における業務プロセスやフローに沿って進行する作業です。
オペレーションの品質や効率を向上させると、無駄な費用や人的コストなどが削減され、利益の最大化を追求することができ、その結果、競合優位性を確保することができます。
また、オペレーショナルエクセレンスを追求することで、独自のビジネスモデルの構築など業界改革につながったり、新しい企業文化が根付くきっかけになったりすることもあります。
業界別にみるオペレーショナルエクセレンス事例9選

オペレーショナルエクセレンスを成功させて継続的に成果を上げている企業の事例からは、多くの学びが得られます。
本章では、製造業・サービス業・IT業界・金融業など多様な業種における取り組みの具体例を9つ紹介し、それぞれの企業が課題をどのように解決し、成果を上げたのかを解説していきます。
製造業の事例
製造業では、製品の品質を担保しながら製造工程などのオペレーションを徹底的に効率化する取り組みが行われています。
昔からオペレーショナルエクセレンスへの意識が高い業界のひとつでもあり、企業全体への考え方の浸透や教育なども積極的に行われています。
5社の取り組みをご紹介します。
トヨタ自動車:トヨタ生産方式(TPS)による生産効率の最適化
トヨタ自動車は「ジャスト・イン・タイム」と「自働化(人に代わって異常を検知)」という2つの概念を軸としたトヨタ生産方式(TPS)を構築し、製造業のオペレーショナルエクセレンスを確立しました。
現場の無駄を徹底的に排除し、常に改善(カイゼン)を重ねる文化を組織全体に浸透させています。
結果として、在庫削減、リードタイムの短縮、品質の安定化を実現しました。
トヨタ生産方式は製造業全体に大きな影響を与え、グローバルに模倣されるベストプラクティスとなっています。
また、このトヨタ生産方式は多くの企業や研究者によって研究・整理され、より幅広い産業に適用できるよう一般化され、「リーン生産方式」として現在でも広く採用されています。
テスラ:従業員へのビジョン浸透と独自の戦略
現在、自動車産業はまさに転換期を迎えています。
IoT化、電気自動車の普及により、業界構造そのものが変化の途上にあるからです。
その先駆けともいえるのが、イーロン・マスク氏率いるテスラの独自戦略です。
その特徴は、第4次産業時代の世界的基準になりえるモデルであると言われる明確なビジョンです。
- 脱炭素社会への姿勢
- WEBサイトからの受注生産型への転換
- 工場では作業員の手作業を補完するロボットなどの機械を実装
上記が挙げられます。
これらのビジョンのもと、世界中の拠点で働くおよそ7万人の従業員にミッションを浸透させ独自戦略を貫くことで、革新的なオペレーショナルエクセレンスを実現しています。
参考:企業情報 | Tesla
パナソニック:独自の「伝承師」制度を活用した現場主導の改善活動
大手電機メーカーであるパナソニックは、現場主導の改善活動と、それを支援する「伝承師」制度によってグローバル市場でも高い競争率を維持しています。
「伝承師」とは、社長直轄のオペレーショナルエクセレンス専門チームのことを指します。
その役割は、国内外の生産拠点を巡回し、現場の改善活動を直接支援することにあります。
指導するだけでなく、現場の従業員と共に業務プロセスを見直し最適化を進めていくことで、短期間で成果を出すことに貢献しているのです。
なかには、伝承師の指導のもとで生産ラインのボトルネックの改善・効率化を図ったところ、わずか1年で1.6倍以上の生産性向上を実現した例もあったようです。
参考:現場革新で経営力を向上 | パナソニック オートモーティブシステムズ
味の素:目標達成に向けたオペレーショナルエクセレンス
味の素は、全グループで組織や個人の目標を達成するまでのプロセスにオペレーショナルエクセレンスを取り入れています。
まずは、ターゲットとなる顧客像、および顧客が求める価値を定義することから始まります。
それらの定義をもとに、組織と個人の目標・KPIを設定し、施策を企画していくというプロセスをとっています。
また、目標を設定するにあたって、徹底的にディスカッションが行われることも特徴の一つだといえるでしょう。
具体的には、目標と成果、それらによる成長のために何をしていくか、という提案をプレゼンテーションする手法が浸透しています。
参考:味の素グループの全社オペレーション変革の取り組み | 味の素株式会社
リコー:DXと組み合わせてプロセスの最適化を図る「プロセスDX」
事務機器・光学機器メーカーであるリコーでは、デジタル技術とデータ活用などのDX(デジタルトランスフォーメーション)を駆使して業務プロセスを変革する「プロセスDX」に取り組んでいます。
プロセスDXは業務や作業の可視化をはじめ、業務プロセス・作業プロセスの最適化、最適なデジタルツールの活用、データを活用した状況のモニタリングの実施という流れで進みます。
改革に必要なスキルを習得する人材育成にも注力しており、属人化予防にもつながっています。
これらの活動の結果、従業員のストレス軽減やより付加価値の高い業務への従事などの効果が見られることに加え、オペレーションの自動化による年間55万時間の工数削減を実現しました。
近年注目されるDXによってオペレーショナル・エクセレンスを実現した好例といえるでしょう。
小売・サービス業の事例

小売・サービス業では、主にカスタマーへの製品・サービスの提供プロセスを効率化するオペレーショナルエクセレンスが徹底されています。
迅速に、コストパフォーマンスよく高い品質の製品やサービスを提供することが、顧客満足度に直結しているからです。
代表的な3社の事例をご紹介します。
Amazon:徹底的なオペレーションの合理化
大手通販プラットフォームを運営するAmazonの特徴は、最先端テクノロジーへの惜しみない投資と徹底したムダの削減による合理的なオペレーション形成にあります。
顧客満足向上のために、例えば通販サイト上では、機械学習を活用したレコメンド機能を搭載しています。
その他にも、工場や倉庫などにおけるロボット活用や、配送への小型ヘリコプターの導入など、さまざまなテクノロジーを駆使してオペレーションの合理化が図られています。
また、その思想はバックオフィス部門でも貫かれています。
PowerPointの使用がルールとして禁止されていたり、会議を4種類に分類したり、新規プロジェクトの企画はプレスリリースから書き始めるといったルールが設けられていたりするなど、徹底的なムダを省く体制が整えられています。
参考:オペレーショナルエクセレンス – AWS Well-Architected フレームワーク | Amazon.com, Inc.
マクドナルドホールディングス:オペレーションの徹底的なマニュアル化
ファーストフード業界を代表するマクドナルドホールディングスは、商品提供に関するオペレーショナルエクセレンスを実現している企業の一つといえるでしょう。
同社は全国には約3,000店舗以上があり、アルバイト従業員の比率が高いことで有名ですが、どの店舗であっても常に安定したクオリティで商品を提供することができています。
あらゆるオペレーションがマニュアル化されており、商品の提供時間は90秒以内と決められています。
その目標値を達成するために、調理手順や接客方法などがマニュアル化されているのです。
文書でのマニュアル化に加え、必要に応じて現場でOJTが実施されています。
これらの取り組みにより、圧倒的な商品提供スピードや接客品質の均質化を実現し、業界を代表する企業となっています。
セブン-イレブン・ジャパン:商品の単品管理手法の徹底
コンビニエンスストア「セブンイレブン」を全国各地で展開するセブン-イレブン・ジャパンは、商品の単品管理する手法を先駆けて行った企業でもあります。
単品管理とは、商品のラインナップを可能な限り顧客の要望に近づけるために、商品の発注数、陳列方法などを単品ごとに管理する手法です。
セブン-イレブン・ジャパンは、売れ行きがよくない商品を徹底的に排除し、売れ行きがよい商品へと入れ替えるオペレーションを繰り返すことで、売上アップや在庫削減を実現しました。
また、単品管理を徹底するには、店舗だけではクリアすることができないさまざまな制約があったため、それらを一つずつ解決していくことで、コンビニオペレーションの改革をおこなった企業といえるでしょう。
参考:店内作業効率化の取り組み – サステナビリティレポート | 株式会社セブン‐イレブン・ジャパン
その他の業界の事例
オペレーショナルエクセレンスは、製造業や小売・サービス業以外でも注目されています。
特に、社内の業務フローなどを効率的に行うことを目的にされることが多いです。
社内システム導入による業務プロセス改善の例をご紹介します。
サントリービジネスシステム:誰もが使える操作性をもつシステムを導入
サントリービジネスシステムは、サントリーグループのビジネスインフラの提供、および業務革新の支援・推進を行っている会社です。
サントリービジネスシステムはもともと、人事システムや間接材購買などのバックオフィス系のシステムに自社開発システムを使用していましたが、2000年頃を境に別のパッケージシステムを導入しました。
しかし、聞き慣れない用語が使われているなどしていることから、システムの操作性向上が課題として浮かび上がりました。
そこで、パッケージシステムにナビゲーション機能やガイド・ツールチップを導入することにより、システムの操作性改善を図りました。
その結果、社員がシステム担当者やベンダーに問い合わせることなく自力で使用方法を理解できるようになり、問い合わせ数の減少、操作性の向上に寄与しました。
すべての従業員がシステムを使いこなすことにより、業務プロセスの改善に貢献し、オペレーショナルエクセレンスを実現していくでしょう。
参考:サントリーグループ 3万人のシステム操作性を向上。問い合わせを9割削減し、従業員の利便性向上と業務効率化を実現。| サントリービジネスシステム株式会社
本章で紹介した企業事例から、成功している企業はいずれも自社の業態や状況に応じてオペレーショナルエクセレンスを柔軟にカスタマイズしていることがわかります。
これらの実例を参考にすることで、貴社の現場でも具体的な改善のヒントを見つけることができるでしょう。
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オペレーショナルエクセレンスを実現するための共通要素

多くの企業がオペレーショナルエクセレンスを実現するためにさまざまなアプローチを採用していますが、成功事例を分析すると、いくつかの共通した要素や成功した理由が浮かび上がってきます。
ここでは、そのなかでも特に重要な3つのポイントを紹介します。
現場主導の改善文化
オペレーショナルエクセレンスの取り組みで成果を出している企業の多くは、経営陣からのトップダウンではなく、現場の従業員が主導するボトムアップの改善文化を築いています。
トヨタの「トヨタ生産方式」や村田製作所の自律的チームが好例であり、従業員一人ひとりが業務改善に参加できる環境が組織力を高めています。
業務の可視化・標準化
業務プロセスの全体像を見える化し、ムリ・ムダ・ムラを明確にすることがオペレーショナルエクセレンスの第一歩です。
オペレーションのタスク管理を徹底し、業務の属人化を防ぐことで、誰が担当しても一定の品質が保てる体制を実現しています。
標準化されたプロセスは、効率化と品質維持の両立に不可欠です。
デジタルツールの有効活用
データ分析やRPA、SaaSツールなど、テクノロジーを積極的に活用して業務を最適化する事例も多数あります。
定型作業を自動化したり、オンボーディング支援ツールを活用することで、業務品質の向上と人材リソースの有効活用が可能になります。
これらの共通要素は、業種や企業規模に関わらずオペレーショナルエクセレンスを進めるうえでのベースラインといえます。
次に、自社の現状と照らし合わせて、どの要素が不足しているかを洗い出すことが重要です。
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今回の記事ではオペレーショナルエクセレンスの具体的な事例を解説しました。
オペレーショナルエクセレンスを推進していくためには、オペレーションの品質や効率を向上させる必要があります。
そのためには、ツールを活用し、オペレーションのタスクを徹底的に管理することで業務の可視化・標準化を進めていくことが最初の一歩となるでしょう。
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