Jootoのデータと連携し、3つの指標を自動算出するレポートサービスも提供開始
株式会社PR TIMES(東京都港区、代表取締役:山口拓己、東証プライム:3922)が運営するタスク・プロジェクト管理ツール「Jooto(ジョートー)」は、DX(デジタルトランスフォーメーション)を妨げる運用問題の解決を目的に、行動分析学の専門家である法政大学の島宗理教授と共同で組織行動マネジメントに関する研究を行い、2024年9月13日(金)~15日(日)に開催された日本行動分析学会で研究成果を発表しました。
また、本研究で明らかになった業務改善に有効な3つの指標を可視化する分析レポートサービスの提供を開始しました。導入支援の場面でも、この指標を用いた業務改善の提案を強化してまいります。
■日本行動分析学会第42回年次大会:https://j-aba.jp/meeting/2024/index.html
研究結果サマリ
以下の3つの指標を測定しながら業務改善を行うことで、クラウドツールを使ったチームのパフォーマンスを向上できることを確認できました。
3つの指標:
-タスクの登録ルールが守られているか数値化したルール遵守率
-計画通りに中止や延期なくタスクが進んでいるかを数値化した安定率
-登録したタスクが予定した期日までに完了しているかを数値化した完了率
研究概要
背景
「Jooto」は、チームの進捗や情報を共有し業務進行をスムーズにする、クラウド型のタスク・プロジェクト管理ツールです。業務改善のためにツールを導入する企業が増えている一方で、社内に浸透せず挫折したり、非効率を招くケースも少なくありません。そこで、クラウドツールの導入における運用ルールを科学的に検証するため、行動分析学の専門家である法政大学 島宗理教授との共同研究に至りました。
■研究背景の詳細:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001258.000000112.html
方法
Jootoを日常的に使用している3~5名のチームを対象に、チームのパフォーマンスを測るための3つの指標を設定し、定期的にそのデータを収集しました。チームマネジャーと研究側とで1~2か月に1度オンライン会議を開き、これらの指標データを基にチームのパフォーマンスについて話し合い、必要に応じてルールの調整やマネジメント方法の改善に取り組みました。このような介入を合計4回行い、1年半(2023年1月2日~2024年6月16日)にわたって各指標に変化が見られるかを追跡し、行動指標に基づいたPDCAサイクルの実行可能性を検証しました。
3つの指標とは
(a)タスク登録ルールの遵守率
タスク登録時の入力項目に関するルールを作成し、守られていた項目数の割合を”遵守率”として算出します。業務管理では、タスクを正確に記載し、チーム全員で共有することが重要です。特に、1タスクを「プレゼン準備(広義)」にするのか「資料作成(狭義)」にするのかといったタスクの粒度を揃えることで、チーム内で進捗状況を一貫して把握できるようになります。タスク登録ルールの遵守率が向上すると、統一された形式でツール内に記載されるため、メンバー間の理解がスムーズになり優先順位が明確化されます。
(b)計画したタスクの安定性
登録されたタスクのうち、「中断」「延期」「中止」にならなかったタスクの割合を”安定性”として算出します。安定性が向上することは、キャパシティを超えたタスクが乱立したり、「できればやる」といった曖昧なタスクが混在することが減少することを示します。チームは本当にやるべきタスクに集中でき、不要なタスクの削減やリソースの最適な配分が可能な状態になります。
(c)登録したタスクの完了率
このチームのタスク遂行にかかる平均日数15 日以内に完了した割合を”完了率”として算出します(「中断」「延期」「中止」になったタスクおよび予定工数が長期間のタスクは対象外)。
タスクの完了率が向上することで、チームの業務達成能力が高まります。また、タスクの積み残しが減るためメンバーは新しい業務に迅速に取り組むことができ、チームの動きが円滑化します。これにより、チームの全体的なパフォーマンスが向上し、プロジェクトの成功率も高まります。
研究結果
プロジェクトマネジメントツールの効果的な運用方法を開発することを目的とし、今回3つの指標を元に4回の介入の実施したことによって、各指標の1カ月ごとの平均値は実験開始時と比較して以下のように変化し、いずれの数値についても改善が確認できました。
遵守率:53.4% → 95.2% 41.8ポイント上昇
安定性:78.0% → 86.6% 8.6ポイント上昇
完了率:77.5% → 90.0% 12.5ポイント上昇
下図は各指標の週次数値(黒線)と月次数値(橙色)の具体的な推移を示します。縦線部分が介入の実施ポイントであり、介入により、変化が顕著に確認できます。介入内容の詳細については、論文をご確認ください。
■論文詳細:https://doi.org/10.31234/osf.io/bjcds
3つの指標でパフォーマンス改善。分析レポートサービスの提供
今回の研究結果をJootoのお客様にもお役立ていただこうと、有効性が判明した3つの指標「遵守率」「安定率」「完了率」を計測しレポートで提供する「分析レポートサービス」の提供を2024年9月18日(水)より開始いたしました。3つの指標によって自社の課題を明確にし、改善の打ち手を考え、効果を確認することができるようになります。また、導入支援においても、専任担当が本レポートを活用したルール作成や業務改善提案の実施を行うことが可能になりました。詳細は以下よりお問い合わせください。
お問い合わせ:https://www.jooto.com/contact/
コメント
法政大学 文学部心理学科教授 島宗 理
せっかく最新のシステムを導入したのに、使われなかったり成果がでなくて、利用を断念してしまう… 今回のケーススタディでは、DX時代にありがちな、そのような事態を打開する方法を探求しました。ツールの使い方を共通化し、プロジェクトの計画と実行を分けてマネジメントすることで、チームメンバーが同じ方向を向いて、システム活用法の最適解をみつけながら成果を上げていく流れがつくれました。研究で検証した3つの指標が、今後は自動的に集計され、レポートとして提供されるようになるそうです。研究成果をシステム改善に迅速に活かせるところは産学連携の醍醐味です。今後の展開にも期待します。
<プロフィール>行動分析学、パフォーマンスマネジメント、インストラクショナルデザインを専門とし、『パフォーマンス・マネジメント―問題解決のための行動分析学―』、『使える行動分析学―じぶん実験のすすめ―』、『ワードマップ応用行動分析学』など著書多数。世の中に役立つ心理学を研究し、実践する。近年では、長野県に新設される予定のインクルーシブ小学校を支援し、カリキュラム開発とDXについて行動分析学に基づいた助言を行っている。
株式会社PR TIMES Jooto事業部 平野 貴嗣
今回の研究で検証した3つの指標を活用することで、Jootoを新規導入するお客様や社内での利用を拡大するお客様は、これまでの『何となくできている』という状況から脱却し、数値に基づいたフィードバックによって現状の課題をより明確に把握できるようになると思います。また、導入支援においてもこの数値を読み取り、打ち手を考えるような支援を強化し、お客様の業務改善に伴走していきたいと思います。
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