「誰かに聞かないと分からない」状況を改善したい!
Jootoを活用した業務管理で属人化解消へ
抱えていた課題
業務を進めるうえで「属人化」が課題であると感じていた。
「属人化」を解消するために導入した分析ツールが定着しなかった。
外国人スタッフが日本語で作業日報を提出する負担を軽減したいと考えていた。
解決したこと
チェックリストで客観的に進捗状況を確認できるようになった。
上司に都度確認をせずとも自らの判断で作業を進められるようになった。
作業終了後にチェックするだけの仕組みにしたことで外国人スタッフの心理的負担が軽減。
令和4年5月に設立の株式会社熊井は、神奈川県綾瀬市に本社を置く塗装プラント設備の製造・据付を行う会社だ。大型塗装プラント設備をはじめ、前処理装置や電着装置、塗装ブース、乾燥炉、搬送装置など製造を行っている。同社では、業務の属人化が課題となっていた。改善に向けて3D CADや分析ツールを導入する中、業務管理ツールとしてJootoを導入。現場スタッフの意見を取り入れながら、運用の仕組みを固めているという。
今回、お話を伺ったのは同社専務取締役の熊井亮介(くまい・りょうすけ)さん。Jootoを導入するまでの経緯や利用方法、導入後の変化についてお話を伺った。
3D CADへの移行をきっかけに
業務管理の「見える化」に取り組む
― 御社と熊井様の役割について教えてください。
弊社は塗装プラント設備の製造・据付を行う企業です。2022年5月11日、株式会社熊井製作所から独立し、大型の塗装プラント設備の製造をメインに事業を展開。前処理装置や電着装置、塗装ブース、各種乾燥炉、搬送装置などの製造も手がけています。私は、専務取締役を務めています。
― Jootoを導入するに至ったきっかけは何ですか?
業務を進めるうえで特定の人に聞かないと分からない、いわゆる「属人化」が課題となっていました。状況を変えるために取り組んだのが、製作図の作成を2D CADから3D CADに移行することです。
2D図面は正面図、平面図、側面図で構成されており、手書き作業と同じ感覚で直感的に作業できます。しかし、平面での作図しかできないため、多角的に検証が必要となる場合は都度作図しなければなりません。対して、3D CADは物体の立体的な形状や構造を視覚化できます。
2D図面で製作図を作成していたときは、都度誰かに確認しないと詳細を把握するのが難しい状況でした。しかし、製作図の作成を3D CADに移行したことで、「誰が製作図を見てもひと目で分かる」といった特定の人に依存しない体制の構築に繋がりました。これをきっかけに、業務管理も誰が見ても分かるようにしようとなり、Jootoを導入しました。
― Jooto導入前の状況について教えてください。
Jooto導入前、製作図作成の進捗状況を把握するために分析ツールを利用していました。具体的には、作業が完了したら所定のチェックボックスにチェックを入れて、パーセンテージで完了率を見られるようにしていました。しかし、完了率をパーセンテージで表すだけでは「あとこれくらい作業すれば終わるかな」と想像はできても、実際にどこまで工程が進んでいるのかをイメージしづらく定着に至りませんでした。そこで、Jootoのチェックリストを活用して、客観的に進捗状況を見られるようにしました。
CSVファイルのインポート機能で
膨大な量のタスクをJootoへ
― どのような形でJootoを利用していますか?
大型案件ごとにプロジェクトを立ち上げて管理しています。プロジェクト内では、まず左端に「現場工程」のリストを設けて工程のタスクを作成。タスク内には、現場での作業工程と大まかなスケジュールをチェックリストにしています。左から2番目には「製作予定」のリストを作り、自社工場で行う予定をタスクにまとめました。左から3番目以降には「制作予定」内のタスクを改めてリストとして作成し、各タスクの作業をチェックリストにして業務管理を行っています。
弊社の請け負う案件は規模が大きく、数カ月の工期がかかるものもあります。このため、多数の部品や百何十枚もの製作図面を扱っており、これらも各タスク内で管理しています。また、各案件の工程管理とは別に「受注リスト」のプロジェクトも作成。「受注リスト」では、取引先の小口案件を管理。細かい管理が必要な案件については別途プロジェクトを立ち上げ、ガントチャートも活用しています。現場では大型モニターにJootoの画面を投影し、各担当者がガントチャートにフィルターをかけるなどして作業内容を確認しています。
― 作業工程の数が多い印象ですが、Jootoへの入力は手作業で行っているのですか?
以前は手作業で行っていました。現在はExcelでタスクを作成してJootoへインポートし、必要な部分だけ手作業で変更しています。スケジュールの設定については工数が多く、正直なところ自分だけで把握するのが難しい状況です。このため、主要メンバーとミーティングを行い、お客さまの要望や優先順位を確認しながら作業期間を設定しています。基本的には、Jootoへ案件に必要な工程や情報をまとめて入力し、ミーティングで予定を調整。工程ごとに大枠のスケジュールを入力し、その後、細かい作業工程の期日を決めていきます。
外国人スタッフが安心して
作業に取り組める仕組みを作れた
― Jootoで便利だと感じる点は何ですか?
弊社の特色として、製造に関わる全員がベトナム人で構成されています。Jootoはブラウザで開いて使用するため、ブラウザの翻訳機能でベトナム語に変換できる点が便利です。また、タスク内に写真をアップロードできる機能も役立っています。文章の読み書きが難しい人には写真を活用するのが有効です。例えば、レーザー加工機で切った物の写真をJootoにアップロードすれば、作業が完了したかどうかを確認できます。文字を入力しなくても写真データがあれば、効率良く進捗チェックできる仕組みを作れると気づけました。
― Jooto導入における効果についてお聞かせください。
Jooto導入前は、業務が終了したら作業日報を提出してもらっていました。日本語や漢字、図面番号を使って何をやっていたか、どれくらいに終わったか、次に何をやるかを日本語で入力する必要があり、スタッフに労力を使わせていたと感じています。Jootoを導入した際、新しいことを覚えてもらうのも負担だと考え、作業が終わったらJootoにチェックするだけの仕組みに切り替えました。この分かりやすい仕組みにより、スタッフの心理的負担も軽減できたと思います。
スタッフのアイデアを取り入れて
みんなでJooto運用の仕組みを作る
― Jootoについて社内ではどのような評判ですか?
現場では、番号を振った図面を見ながら作業を進めています。弊社の製造スタッフはベトナム人ということもあり、日本語を読むのに時間がかかります。しかし、数字は世界共通です。図面番号を見ながらであれば、問題なく作業を進められると考えてこの方法を採りました。
ただし、作業中は問題なくても、作業が終わると次に何をすべきか分からなくなることもあるようでした。その際、上司に確認する手間を省くため、Jootoで図面番号を確認できるようにしました。スタッフからも分かりやすいと好評です。現時点ではJootoを上手く活用できていないスタッフもいるため、ガントチャートの画面を見せる機会を増やし、チェックする楽しさを感じてもらいたいと考えています。
― Jootoを浸透させるために取り組んだことは何ですか?
私が口頭でスタッフへ説明しています。私自身、Jootoに対してまだ未知数な部分があり、自分だけでやり方を固めることで業務に弊害が生じるのを避けたかったためです。現時点ではJootoを使って作業できる仕組みは整えましたが、細かい仕組み作りはこれから固めていく段階です。今後、スタッフからのアイデアを取り入れながら、一緒にJooto運用の仕組みを作っていきたいと思います。
社名 | 株式会社熊井 |
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従業員数 | 15名(2024年8月現在) |
事業内容 | 前処理装置・電着装置・塗装ブース・各種乾燥炉・搬送装置・製罐及び板金、金属家具・その他金属製品の販売 |
URL | https://kuma-i.co.jp |