「WEBTOON」制作の見える化事例
Jootoで企画から完成までの工程管理をすることで
属人化を防ぐ
抱えていた課題
制作工程の管理やタスクの認識、スケジュール管理など業務の全てが属人化していた。
各スタッフが自身の裁量で業務を行っており、進め方や指示内容に統一性がなかった。
外注先に負担がかかる、成果物の質にばらつきが出るなどの課題を生じていた。
解決したこと
チーム内でスケジュールや必要な情報を共有できる仕組みを整えられた。
自分で期限を設定する状況ができてスケジュール管理に対する意識に変化が見られた。
プロジェクトの進行の経緯を振り返りやすくなった。
東京都港区にある「エンドルフィン株式会社」は、「WEBTOON」の制作・販売を行う制作会社だ。「WEBTOON」とは「WEB」と「CARTOON(漫画)」を組み合わせた造語で、縦スクロールで読み進めるタイプのデジタルコミックのことを指す。元々は韓国の電子コミックサービスで読まれていたが、徐々に他国へ広まり、2023年現在も市場規模を拡大し続けている。
同社では、日本と韓国それぞれのノウハウを活かしたWEBTOON事業を展開。出版社およびゲーム会社との協業作業による作品制作や、韓国で制作したWEBTOONの日本語化など関連事業は多岐にわたる。また、同社制作のWEBTOONの中には欧州や北米などで親しまれている人気作品が複数あり、今後リリースされる作品群もグローバル展開を予定しているという。
今回、記事に登場するのは、同社クリエイティブマネージャーの阿部さやか(あべ・さやか)様。Jooto導入前、同社では業務の属人化が課題となっていたとのこと。課題を解決するべく、Jootoを通じて阿部様が取り組んだことは何か。詳しくお話を聞いた。
スタジオ体制で多くのクリエイターとともに
縦スクロール型コミック「WEBTOON」を制作
― 御社の事業内容について教えてください。
弊社では、「WEBTOON」の制作やアシスタント支援を含む制作支援等のメディアミックス企画の運営など、WEBTOONにかかわる事業を展開しています。2023年4月現在、社員数は38名。この他、業務委託のクリエイターと連携し、スタジオ体制でWEBTOON制作を進めています。
― Jootoを活用されている部署と業務内容について教えてください。
全社的に利用していますが、メインで活用しているのは3部署。WEBTOONの制作に携わる「制作本部」、韓国語原作のWEBTOONを日本語対応にする「ローカライズ事業部」、社内システムや人事の管理、営業活動など制作活動以外の業務を担う「業務支援室」です。
― 阿部様の担当されている業務についてお聞かせください。
クリエイティブマネージャーとして、制作本部における制作進行やスケジュール管理、組織マネジメントを担っています。クリエイターのスキルアップや、専門性を活かせる環境づくりなども行っています。
シニアデザイナーとして、ブランディングやコーポレートサイトの制作、作品タイトルデザインなどにも携わっています。もともと前職でWEBデザインをしており、デザイナーとしての仕事も残したいとの思いでデザイン業務に関わっています。
属人化により業務の進め方や指示がバラバラ
会社として成長すべく情報共有ツールを導入
― 御社ではどのような場面でJootoを利用していますか?
まず、作品の進行管理です。新たなWEBTOON制作のプロジェクトが立ち上がったら、制作フローに合わせてJootoに入力。企画から制作、納品までのタスクを整理して進行を管理しています。
次に、各制作チームのミーティング議事録の入力および共有と突発的に発生したタスクの管理です。各制作チームがミーティングを実施した際に、リアルタイムでJooto上に議事録を書き込んでいます。突発的に発生したタスクは即座にJootoへ入力し、担当者と期日を決めています。
上記以外に、年間に制作するWEBTOONの一覧表や連携しているクリエイターの管理にも活用しています。
― Jooto導入の背景をお聞かせください。
Jooto導入前は、制作工程の管理やタスクの認識、スケジュール管理など業務の全てが属人化していました。1つの作業に対して明確なフローチャートはなく、各スタッフが自身の裁量で業務を進めている状態。ただし、作品自体は完成していましたし、それで成り立っている部分も多くありました。
しかし、スタッフ全員の経験値やスキルが同じではありません。業務の進め方や指示内容に統一性がないうえ、不明点があっても気軽に情報共有できる場もない状況。結果としてクリエイターに負担がかかる、完成した作品の質にばらつきが出るなどの課題を生じていました。
また、社員が増えてきたこともあり、社内で「これまでのやり方が通用しなくなった」との認識が広まりつつありました。そこで、会社として成長するためにも、業務管理における情報を共有できるツールが必要となり、Jootoの導入を決めました。
― Jootoを採用した決め手は何ですか?
JUIがシンプルで、使いやすい点です。社内のスタッフのITツールに関する知識に差があることから、誰でも簡単に使えるサービスである点が必須でした。Jootoは、まさにこの条件を満たしていました。
期限を決めてチーム内で共有することで
社内スタッフの“仕事”に対する意識に
変化が見られた
― 「WEBTOON」の制作において、どのようにJootoを利用していますか?
まず、WEBTOON制作の企画が立ち上がったら、作品ごとにプロジェクトを作成します。プロジェクト内には「ネーム」「背景」「下塗り・着彩」など、WEBTOON制作に必要な工程のリストを設定。各話ごとにタスクを作成し、工程が進んだらリストを移動して「今、何話がどこまで進んでいるか」をひと目で分かるようにしています。タスク内のチェックリストにも制作工程を「ToDoリスト」としてまとめ、担当者も設定しています。
また、各プロジェクト内のリストに「全体」の項目を設けています。このリスト内には、「人員確保」「表紙制作」など本編に入る前までのタスクを記載しています。この他、「概要-MTG議事録」のタスクも設定しています。「概要-MTG議事録」のタスク内では、制作に必要なファイルやミーティングの議事録を管理しています。
各担当者とのやり取りは、全てタスク内のコメントで行っています。コメントを残しておくことで、制作上における経緯を振り返ることができます。原稿チェックについても、指示内容を記載したファイルをGoogleドライブに保管し、共有リンクをコメントに投稿しています。
― Jootoを導入して変わったことはありますか?
スタッフの「“仕事”に向き合うマインド」が育っていると感じています。チェックリストのアイテムでは、期限を設定できます。仮でも良いのでスケジュールを入れれば、期限を意識しながら仕事を進める気持ちが生まれます。さらに、全体で共有しているので進捗に遅れが出ればすぐに分かるため、必然的に担当者はスケジュール調整や外部との交渉をすることになります。期限を曖昧にせずに「見える化」してチーム内で共有することで、「自分で行動を起こそう」という意識付けに繋がっていると思います。
「WEBTOONスタジオ」を
クリエイターの新しい働き方の選択肢にしたい
― 今後、どのようにしてJootoを活用していきたいとお考えですか?
Jooto導入当初、新たなツールを導入することに戸惑うスタッフもいました。現在は「Jootoがないと仕事が成り立たない」との声があがるくらいには、社内にJootoが浸透していると思います。しかし、社内の全スタッフに定着しているかと言われると、「まだまだ」というのが本音です。Jooto自体を使い切れていない人や、うっかり期限を設定し忘れてしまう人もいます。社内全スタッフにJootoのオペレーションを定着させることが、質の高い作品づくりに繋がるだろうと考えています。
― 会社として目指している目標は何ですか?
日本のクリエイターが制作したWEBTOONをヒットさせることです。これまでは韓国を中心に制作・発信されていたWEBTOONですが、これからは日本発のWEBTOON作品も国内外に広めたいと考えています。弊社のミッションである「“WEBTOON”で多くの人に感動を与える作品をつくり出すこと」を忘れずに、たくさんの読者の心を動かし、ファンになってもらえるWEBTOONを生み出していきたいと思います。
私個人の目標は、「WEBTOONスタジオ」をクリエイターの新しい働き方の選択肢にすることです。目標達成に向けて“エンドルフィン”を、多くのクリエイターのスキルを活かし、たくさんの人に読んでもらえるWEBTOONづくりのできる場所にしていきたいです。
社名 | エンドルフィン株式会社 |
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従業員数 | 38人(2023年4月現在) |
事業内容 | デジタル漫画の制作・販売、デジタル漫画の制作支援(アシスタント支援等)、コミカライズ等のメディアミックス企画、上記に係る関連業務全般 |
URL | https://www.en-dolphin.com/ |